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猫になって丸三日が過ぎた。小川の水だけで飢えを凌いでいた。
(死にそう・・・)
いきなり猫になって道端の鼠を食べなさい、なんて無理な話で、できるわけがない。
俺は足下をふらつかせながら土手をポツポツ歩いていた。
と、その時だった。
「どうしたの?」
誰から俺に声をかけて俺の身体を抱き上げた。その人間は自分の顔に俺の顔を近づけた。
「元気ないね?お腹すいてるのかな?」
俺はその人間と目が合った瞬間、心臓が飛び出るかと思った。
その人間は、あの矢田さくらさんだ。
俺は彼女との顔のかなりの近さのあまり卒倒寸前だった。
「この子、弱ってる・・・。つれて帰っていいかな?首輪・・・してないし」
彼女は俺を胸元で抱きかかえると、そのままどこかへ連れて行った。
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