浦島太郎

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浦島太郎

一週間休むと何もかも出遅れたような気もしたが、 一人暮らしのできる喜びに勝るものではなかった。 新居には事務所の前の応接セットがおかれ、 その机の上に茶封筒が無造作に置いてあり 中には家財道具を買うに充分なお金が入っていた。 ベランダからは遠くに大都市の光がかすかに見え、 その手前に新興住宅地がやまの裾野を光で被っていた。 まばゆかったし、 今までの家に愛着がなかったことにも気がついた。 家族にも…
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