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早い物で私は二十歳になった。
相変わらず四人組は負けず嫌いが集まった所為か中学校に上がって剣術とは関係無い部活に入りながら道場に通い詰めている。
勿論、他の生徒も部活と並行で道場に通ってくれた。
中学生組が一番人数が多く三十六人もいる。
仕方がないので二組に分けて稽古を見ている。
皆かなりでかくなって透と幸人は175センチになったと私に自慢してくるが別に悔しくは無い。
慎一郎と流星も170センチ近くあるのでどんぐりの背比べにしか見えない始末だ。
部活に剣術にでそこら辺の中学生とは比べ物にならない位に体格がいい。
だけど、自分の力量くらい分かって直ぐに私を呼ぶだろうと甘く見ていた私は大馬鹿者だった。
中学生一組は火曜日の夜七時から稽古を始める。
そろそろ出掛けようと着替えて階段を降りていた所に
「師匠!!!!師匠大変!!!!早く!!」
誰かが家に駆け込んで来て膝に手を突いている。
声から近所の中学生一組の絵美里だ…
「どうした?」
「大変なの!!透が!!道場に!!…師匠、早く!!」
かなり息を切らして全く何を言ってるのか分からなかったけど、顔を上げた絵美里は泣いていた。
「絵美里、迎えに来るまで此処にいろ、いいな?」
私は走り出す。
よく見れば絵美里の道着には血が付いていた。
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