文久三年【夏之参】

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    沖田総司はそれでも他の隊士達より本庄祿を見てきたつもりだ 本庄祿の行動全てが早阪透に繋がっていて、早阪透を守る為ならば命も利き腕すらもかなぐり捨て、絶対に早阪透を諦める様な真似はしなかった その本庄祿が半年、きっと二人にとって余りにも長過ぎた時間だったであろう時を全て近藤勇局長の前川邸隊士に早阪透を預けた それが何を意味するのか分からない程、沖田総司は無情な鬼では無い 「野口さんをお連れしますね」 沖田総司が本庄祿の手を離して立ち上がると 「いえ、お迎えに上がると言った以上、私が行きます」 体を捻り起き上がろうとする本庄祿を止めたのは近藤勇だった 「駄目だ本庄君、君は此処で待つんだ」 「でも…」 「斬られてもいない君が倒れていたのは、心臓の所為ではないのかい?」 起き上がった本庄祿は何も言い返せずゆっくりと俯いた 「総司、野口君を此処へ」 「はい、只今」 沖田総司は静かな足取りで牢へと向かう 「なんでお前血塗れなんだ」 障りがたい静寂に永倉新八は片足を突っ込む 「私の真上で芹沢鴨の首が落ちたからです」 畳を擦る音と共に全員が本庄祿との距離を詰めた
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