平成十九年【秋】

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    「「師匠!!」」 「透…幸人…」 二人は未だ頭や腕に包帯を巻いているも家まで走ってきた。 「ごめん…本当にごめん」 「師匠…?泣くなよ!!なっ?俺ら全然平気だからさ」 「そ、そうだよ!!来週から又道場行くからさ!!」 「痛かったよね…悔しかったよね……ごめん…遅れてごめん…」 二人の包帯にそっと触れる、自分の所為だと分かっている。 「師匠、泣くなって…師匠に泣かれたらどうしたらいいか分かんねぇよ…」 「いつもみたいに稽古が足りないからだ!!とか言って説教される覚悟で来たんだからさ…」 二人は困った様に私の頭を撫でたり涙を拭ったりしている。 「馬鹿…もう二度と無理はするな、駄目だと思ったら逃げろ……それと、守りの刀の意味をきちんと知れ」 私は二人の頭を両腕で抱き込んだ。 「「はい…師匠」」 二人は両側から腕を回して抱き付いてきた。 きっと端からみたら学生服の男子二人が女に抱き付いている奇妙な光景なのだろう。 「守りの刀は躱しや受け流しが全てじゃない大切なものと己が身を守ってこそだ…守る為なら討て、迷うな…それは暴力や理不尽な攻撃じゃない…勘違いするな」 「「はい、師匠」」
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