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夜が明け近藤勇と山南敬助と土方歳三は改めて本庄祿と野口健司の元を訪れた
「おはようございます、大変ご迷惑をおかけしました」
「いや、いいんだよ君は何も気にしなくていい…それより歳」
近藤勇は姿を見るなり頭を下げた本庄祿を気遣いながら土方歳三を促した
「お前の荷物だ、中身は何度か確認したが訳の分からん物ばかりでさっぱりだが、薬があるんじゃねぇのか?」
土方歳三は屯所に連れられて来た時に本庄祿が持っていた鞄を差し出した
「わざわざありがとうございます」
確かに平成の世界を生きていた本庄祿の鞄の中身は江戸時代を生きる彼等には全く理解も出来ない物しか入っていなかった
本庄祿は鞄を漁る自分を興味深く観察する四人に気付き苦笑いで問い掛けた
「中身、何か気になる物が入ってましたか?何度か確認されてるとは思いますが」
そう言って順番に一つずつ出していく
「その白く光ってる小さな箱はなんに使うんだい?」
山南敬助は首を伸ばして覗き込む
「携帯電話と言って遠くにいる人と会話を交わしたり書簡のやりとりをします」
「話!?この小せぇ箱で!?」
土方歳三は信じられないと言った顔で携帯電話に恐る恐る触れる
「別に噛み付いたりしませんよ」
本庄祿は笑いながら土方歳三の手の平の中で携帯を開いてやる
「な、なんだこりゃぁ…」
近藤勇も山南敬助も土方歳三の手に握られた携帯電話を見つめる
「これはなんだ?」
野口健司はやはり手の平に収まる大きさの半透明の箱を持っていた
軽く振ればカラカラと中の白い金華糖の様な物が音を立てる
「それが心臓の薬です」
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