文久三年【夏之参】

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    「二人が大分打ち解けている様で助かるよ!!」 近藤勇は驚いている二人を余所にあっけらかんと言い放つ 野口健司は更に顔を赤くし何かを言い返そうとしたが近藤勇は全く気付かず更に続けた 「二人を前川邸へ引き抜く事にした、部屋についてなんだが山南と歳に任せてある」 話終わると近藤勇の表情は僅かに曇ったのを本庄祿も野口健司も見逃さなかった 「その前にお一つお聞かせ下さい」 「なんだい?」 「私の荷物は透と居た部屋にあった筈です、透は私の荷物をお持ちになる事に何も言いませんでしたか?」 本庄祿は三人を順番に見るが誰とも目を合わせる事は叶わなかった 「その……私達も本庄君が居ない間は出来る限り早阪君を一人にしないようにしてきた、勿論監視等と言う悪い意味じゃないんだ、突然君が居なくなって最初は塞ぎ込んでしまって目が離せなかったんだ…それで……その、芹沢さんの小姓になる前に本庄君と早阪君は少しあっただろう?だから、溝を埋める為にももう少し時間が必要かと思って、本庄君と野口君には同室で悪いが一つ部屋を与える事にしたんだ」 話の内容に纏まりも無く目を泳がせる山南敬助と僅かに眉間に皺を寄せて黙っている土方歳三を前にあまり善い状態では無い事は明確だった
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