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「何しに来た」
ただ茫然と目の前に立つ人を見る
私の知ってる姿よりも若干髪が伸びて右側のコーンローの毛先も跳ねずに後ろでハーフアップに結い上げた髪と馴染んでいた
だけど、その顔は私の知ってる姿とは掛け離れ誰なのか全く分からない
「今更何しに来たかって聞いてんだろ」
声にも聞き覚えは無かった
「透、どうして…」
「気安く人の名前呼ぶんじゃねぇよ人殺し」
あぁ、そういう事か…
だから山南さんはあんなにも必死に止めたんだ
何だろう、よく分からない
「俺はお前の顔なんて二度と見たくねぇ、一生芹沢と一緒に好き放題遊んで人殺してろよ」
人殺し
そうだ、私は人を殺した
誰かの為なんかじゃない
結局の所、私が透に逢いたいが為に殺した
でも、逢いたいと思った気持ちに偽りは無かった
それが殺していい理由にならない事くらい分かっている
それでも、透に逢いたかった
残り僅かな時の記憶を透で一杯にしておきたかった
「話を聞いて…」
「人殺しの分際で何言ってんだ、さっさとあっちに戻れよ」
「嫌だ、私は透に逢いに来たんだ…話を聞いてくれるまで動かない」
「うるせぇんだよ!!!!俺の名前呼ぶなつってんだろ!!何なんだよお前!!師匠は人殺しなんかじゃない!!同じ面して俺の名前呼ぶな!!俺はお前なんて知らねぇんだよ!!!!」
逢いたかったんだよ、透
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