文久三年【夏之肆】

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    「何しに来た」 ただ茫然と目の前に立つ人を見る 私の知ってる姿よりも若干髪が伸びて右側のコーンローの毛先も跳ねずに後ろでハーフアップに結い上げた髪と馴染んでいた だけど、その顔は私の知ってる姿とは掛け離れ誰なのか全く分からない 「今更何しに来たかって聞いてんだろ」 声にも聞き覚えは無かった 「透、どうして…」 「気安く人の名前呼ぶんじゃねぇよ人殺し」 あぁ、そういう事か… だから山南さんはあんなにも必死に止めたんだ 何だろう、よく分からない 「俺はお前の顔なんて二度と見たくねぇ、一生芹沢と一緒に好き放題遊んで人殺してろよ」 人殺し そうだ、私は人を殺した 誰かの為なんかじゃない 結局の所、私が透に逢いたいが為に殺した でも、逢いたいと思った気持ちに偽りは無かった それが殺していい理由にならない事くらい分かっている それでも、透に逢いたかった 残り僅かな時の記憶を透で一杯にしておきたかった 「話を聞いて…」 「人殺しの分際で何言ってんだ、さっさとあっちに戻れよ」 「嫌だ、私は透に逢いに来たんだ…話を聞いてくれるまで動かない」 「うるせぇんだよ!!!!俺の名前呼ぶなつってんだろ!!何なんだよお前!!師匠は人殺しなんかじゃない!!同じ面して俺の名前呼ぶな!!俺はお前なんて知らねぇんだよ!!!!」 逢いたかったんだよ、透
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