平成二十年【冬】

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    毎年ある剣術の公式試合と合同稽古。 私は二年に一回しか参加しないが今年は二年連続で参加する。 まぁ、理由なんて何となくだ… そんな理由だからいけなかったのか? 今となっては後の祭りがビックリする程当てはまる。 毎年高校生組から一人助手を連れていく。 今年から四人組も高校生で公式試合に参加できる。 「総当たり戦で助手を決める」 勝ち残り戦より総当たり戦の方が実力は一目瞭然だからだ試合に出るなら勝つ他無い。 着々と結果が出始め試合一週間前に十七勝一敗で四人組が残った。 最初から分かっていたが四人組は強い。 低学年組の頃から太刀筋が良かった。 透と慎一郎は剛で技にキレがあり力で圧す。 幸人と流星は柔で技一つが格段に丁寧でしなやか。 だけど残るのは透と幸人の筈。 二人の剣速は並大抵じゃ躱せない。怖いのはその速度で初撃決殺一本取られる事だ…あのでかい図体を信じられない低姿勢と速度で懐に潜り込ませる。 一体いつ盗まれたか… アレが出来るのは道場で私だけだ、私以外に見せてやれる奴はいない。 爺ちゃんが子供の私でも大人に勝てる様にと教えてくれた脚運びはかなり特殊なのだ。 透と幸人は完璧にコピーしている。
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