文久三年【冬之弐】

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    「じゃぁ本庄さんには私の紋付き羽織袴を貸して上げますよ!私の父は白河藩士だったのでそんなに問題無いと思いますよ?背丈だって少ししか違わないし、ね?」 いつの間に勝手から戻っていたのか沖田総司は笑顔を見せた 「そうですね、お願いします…あと、水戸まで山崎さんに同行をお願い出来ませんか?」 本庄祿は本人を探すように少し視線を彷徨わせる 「山崎君?今は少し出て貰っているが夜には戻る、此方は構わないが何故山崎君なんだい?」 近藤勇は腕組みをしたまま首を傾げると本庄祿は少し大きく瞬いた 「私と透だけじゃ水戸までの道が分かりません、山崎さんに同行して頂ければ何かあった時も安心していられますから」 穏やかな表情で早阪透の隣に座り近藤勇と土方歳三と向き直る本庄祿は少し考える素振りを見せた 「何かって、本当に大丈夫なのか?」 「大丈夫です、何か…もし、それが起きたら山崎さんには変装なり何なりして頂いて即刻水戸を離れてもらいますから、透は私が居ますから安全です」 本庄祿の言葉には人を信頼させる何かがあるのか、早阪透が安全だと言う事がまるで保証された様で早阪透も又、何も心配する事が無いかの様に他人事みたく聞いていた 「もう一つ、土方さん、私達と途中まで同行して頂き多摩で留まって頂きたいのですが…」 この突拍子も無い言葉に土方歳三は声すら出なかった
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