文久三年【冬之参】

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    何にも出来なくて、師匠に守られてばっかで、それなのに酷い事言ったのに それでも、師匠は俺のいない世界で生きていけないって言った 俺も同じなんだよ ずっと師匠と一緒にいたいんだよ 「透…ありがとう」 「俺、何もしてねぇし」 「それでも、ありがとう」 「訳分かんねぇ……眠い、寝る」 ありがとうって言われたのが気恥ずかったけど、まるでお別れみたいに聞こえてちょっとムカついたから師匠を抱いたまま布団に横になった 「うわっ!?」 師匠は予想外だったみたいで俺の腕をしっかり掴んでた 自分から倒れといて言うのも難だけど 今すぐ起きたい ヤバい 俺何してんだ? 師匠押し倒した 師匠は直ぐに自分の状況に気付いたのか真っ赤になって黙った 出来れば怒鳴ってくれた方がまだ救われた 別に何かやましい事を考えて布団に横になった訳じゃない ただ本当に純粋に布団に横になりたかったのと 師匠を放す気が全く無かったのが偶然同時に成立したら今の状態になったんだ 本当に言い切るが断じて他意があった訳じゃない あった訳じゃないけど!! ヤバい… 目のやり場に困る…… 目線を下げると…その…師匠の…着物の合わせって言うか………… 鎖骨とか………とか……見える 何と無くキョロキョロしながらちょっと師匠の顔を見た 「…!?…透?」 「え?……あっいや…ごめん!!」 俺は咄嗟に手を離した つい、少し赤みが差した真っ白な師匠の頬が綺麗で触れたくなって 気付いたら俺の手は師匠の左頬を撫でてた 手を放してそのまま飛び起きて廊下に出て座り込んで…俺、何やってんだろ 「…透?」 「師匠、先に寝てて…ごめん、俺ここでちょっと頭冷やす、ごめん」 「分かった…おやすみ、風邪引くから早く入っておいで」image=343984026.jpg
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