5136人が本棚に入れています
本棚に追加
/554ページ
一時間くらい廊下に座り込んで夜空を眺めてた
指先と耳が寒さで痛くなって部屋に戻ろうとして戸を開けた
「うっ!?…………!!」
ギリギリで叫ばなかった俺は優しい人間だ
だって、まさか布団で寝てる筈の師匠が羽織一枚掛けただけで部屋の入り口に横たわってるなんて思いもしない
「寝るって言うのは普通布団だろ?ったく…人の風邪心配してる場合じゃねぇだろ…」
口では文句たらたら言ってもやっぱ嬉しくて目尻を下げながら抱き上げる
「軽すぎ……何だよコレ」
腕の中で眠る師匠の顔色は余り良くなくて背中を支えた腕にははっきりと骨の感覚が伝わる
これ以上力を入れたら冗談抜きで本当に骨が折れると思ったら恐ろしかった
でも、どうしても…もう少しだけ師匠を感じたくて腕にほんの少し力を入れて抱き締めると師匠はちょっとだけ体を捩らせただけで起きる事は無かった
師匠を布団に寝かせ行灯を消して俺も布団に入る
腕を伸ばして師匠の左手をそっと包む
「おやすみ、師匠」
俺の右手は人の温もりを感じて、それが冷めない様にしっかりと握り直した
最初のコメントを投稿しよう!