文久三年【冬之参】

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    翌朝、目が覚めると師匠は起きて障子を少し開け外を眺めていた 何と無く布団に入ったまま師匠を見ていた 翌々思えば昨夜と言い今と言い俺には未だ夢見心地だ、確かに昨日師匠は俺の腕の中に居た、今も目が覚めて一番に師匠を見れた たったそれだけなのに俺には十分過ぎる程の幸せ 「やっぱ師匠、綺麗だよ」 「は?お前起きてたの?ってか何言ってんの?寝言は寝て言え」 「せっかく褒めてやってんのに可愛くねぇな」 「馬鹿言ってないでさっさと着替えろ」 頬杖をついてぶすくれて見せると師匠は顔を真っ赤にして又外を向いた あ、可愛い…もう少し突いてみたって罰は当たらないよな 布団から抜け出して師匠を跨いで膝を着いた 「透!?何してんだ!!」 「師匠が可愛くねぇ事言うから、ちょっといじめたくなった」 ニヤリと笑って逃がさない様に背中と頭に腕を回す 「クソガキ離れろ!!」 「嫌だね」 師匠は右手で俺を押し返すけど腕力は残念ながら俺の方が遥かに強い 「師匠、俺に可愛いって言われたら何て言うか知ってる?」 「知らねぇや!!」 相当焦ってるらしく師匠の口から方言が出て俺は笑いそうになった 「透大好きって言うんだよ師匠」 「おめぇアホだろ!!調子乗んなクソガキ!!!!」 きっと恥ずかしさが限界に達したのだろう、師匠がキレ…… 言うまでも無く朝から俺は張り倒され拳骨一発と宿主が慌てて駆け付ける程の怒声で説教を食らったが まぁ、いっか… 因みに幕末に来て俺は随分大人しくしていた方で、平成のあっちに居た時はこんな説教は幸人達と日常茶飯事だ
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