文久三年【冬之肆】

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    あれから二日後多摩に着くと土方副長が待っていた 隊を脱する事が何を意味するか位知っている 「…土方…副長…」 「何だ」 「どのような処罰も受ける覚悟は出来ています。ですが、後生です…後三年待って下さい……後生ですどうか、どうか三年新撰組として生かして下さい…恩義に報いなければ死んでも死に切れません」 「どいつもこいつも話が噛み合わなくてややこしい事この上無ぇな、てめえが何時何処で死のうと俺の知った事じゃねぇし新撰組に居るも居ねぇも勝手にしろってんだ…だがな、次新撰組の本庄を裏切る様な真似してみやがれ、水戸の門前で曝し首にしてやる、肝に銘じとけ」 土方副長の話が上手く掴めない 法度に触れた私が何故新撰組の在籍を問われない? 「土方さん、話が噛み合わないのは話し手に許容を超える問題があるからですよ」 私の斜め前で本庄が小さな溜め息を吐いた 「あ?聞く奴の頭が悪ぃだけだろうか、俺の所為にすんじゃねぇよ」 「説明が無いのに何を分かれと言うんですか、まったく……新撰組隊士本庄祿、早阪透、某預かり新撰組隊士野口健司を保護致しました…此れより二人を上洛させます」 「承知した」 「え?…二人?」 本庄が土方副長に報告を済ませると早阪は直ぐに声を上げた 「ちょっと待ってくれ!!某預かりとはどういう事だ!!私は一体どうなるんだ!!」
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