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真田幸章の一刀両断により触れがたい空気の中、果敢と言うべきか無神経と言うべきか話を切り出したのは伏見久我家当主源一郎だった
「水戸と言えばあのメリケンの持ってきた銃、あれ、厄介なんじゃないのかい?」
見た目通りの警戒心を逆撫でするような人懐っこい喋り口調に誰もが目を眇た
しかし、久我の着目は十本刀にとっては尤たるものだった
黒船来航よりマシュー・ペリー東インド艦隊司令官の所持していた拳銃の模造品
「ドラグーン・リボルバー」
「え?」
中条資春の呟きに久我源一郎が振り向くと鈴木永嗣が口を開いた
「装弾数六、回転式拳銃、火縄銃に比べ装填時間は皆無に等しい…銃身は六寸照準は合わせやすく簡単に殺れる」
鈴木永嗣が懐から出したのはその模倣された現物
「しかし、徳川斎昭の模造品は精度が低く施条が無い為照準が合わない」
中条資春は更に付け足す
「施条とは?照準が合わないとどうなるんだい?」
久我源一郎は目を丸くして食い入る様に中条資春を見つめた
「鉄砲の様に長い銃身を通り大まかな照準を定める型とは違い拳銃の弾丸は短い銃身の中を回転する事によって照準を定める、銃身の内側には螺旋の凸があり弾丸には必ずその螺旋の傷が残るそれを施条と言う…しかし、徳川斎昭の模造品にはその螺旋の凸が無い為に僅か指先が傾くだけで何処に当たるか分からない…」
中条資春は簡単に拳銃の仕組みを話すと少し間を開けた
「と言う事は?」
「拳銃の見切り方は銃口と指先から目を離さない事………それが全く宛てにならない水戸の拳銃は…刀では防ぎ様が無い」
「刀…では、ね……目には目を歯には歯を…なら?」
久我源一郎は目を細めて口端を吊り上げ鈴木永嗣を見た
「殺れる」
中条資春はきっぱりと言い切った
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