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鈴木永嗣は何も言わずドラグーン・リボルバーを持つと銃身を皺がより節くれ立った手で撫でた
「随分と知った口を訊くな女」
田村時実は鈴木永嗣を見ながら中条資春に言葉を向ける
「知ってなきゃ口は開かない」
「なら、知ってるついでに話したらどうだ?」
「…何?」
「お前の素性だ」
田村時実の言葉に室内は凍り付く
「どういう意味だ田村、貴様我が子孫を侮辱しているのか?」
中条雪資は斜め前に座る田村時実を睨み付ける
「侮辱?まさか、ただ、自らを何も語らずして助力の真似事なんざ此処で斬り伏せられたって申し開きも無いだろ?」
田村時実は試す様な笑みを浮かべ中条雪資の隣に座る中条資春を楽しそうに見る
「何が言いたい、男の癖に含んだ言い方するとは生け好かないな」
ずっと黙っていたかなり大柄で松原忠司と同じくらいの体格だが表情は仁王像を思わせる強面の播磨赤松家当主耕助が田村時実を睨む
「何をしらばっくれる、貴様等とて目の前で見ていたではないか、あの時我等の目の前には誰も現れなかった…あれから七日経ち壬生から早飛脚が届きもうすぐ一年になり水戸の奴等に手を焼き始めた時、都合よくこの女が現れた……何故中条、貴様の血を使ったのに直系の血筋と名乗るこの女はあの場に現れなかった?本当は……水戸の謀…」
シャァァン!!
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