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「えぇ、我ながら楽しみな」
「貴様の嗜好など知った事ではない」
ニコリと人の良い笑みを浮かべ久我源一郎は中条資春を見ると中条雪資がすかさず口を挟む
「私は立ち合うからな」
田村時実も又従う気は無いのか言い捨てた
「まぁ時実は好きにして頂いて結構ですよ、中条の君、貴方には同席して頂きます…後は川勝と朝倉にも同席をお願いします、翁には特別な席でじっくりと御観賞頂きます」
久我源一郎は鈴木永嗣な笑顔で軽く会釈した
久我源一郎
決して武術に長た者ではなかった、茶道や華道、茶や俳句など芸事好む文学者だが、恐ろしく頭の回転が速く最短で最善にして最強の布陣を敷く
久我源一郎にとって布陣とは一つの芸と同じなのだ
「他の者はどうするのだ」
徳川家茂が問掛けると久我源一郎は当然と言わんばかりの顔で答えた
「家茂、自らの手の内を明かすのは利口ではありませんよ?」
「なら…影武者か?」
「それは利口ですね、水戸徳川公を呼び付ける程ですから中条の君の印象は最悪でしょう…あぁ言う人間は命令を嫌いますから」
まるで中条資春の水戸での一件を見た口ぶりで久我源一郎は話す
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