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「ならば雪資様はどうされる」
中条資春は徳川慶篤を思い出しただけで怒りが彷彿と沸き返り、つい眉間に皺がよる
「中条殿にも勿論同席して頂きますが中条家が二人おられるのは芳しくないので私の代わりに久我を名乗って頂きます」
「源一郎、おめさん出ねぇつもがか?」
「私は出ませんよ?」
斉藤衛楽は驚いている事が却って不思議なのか久我源一郎も又目を丸くしている
室内にいる者も少なからず斉藤衛楽と同じ気持ちで久我源一郎を見ている
「お前、出ないのか?」
「出ませんて、私が居ても別に家茂が安全な訳ではありませんからね」
問掛けた田村時実は逆に驚いた
まさか、この男にそんな機転が備わっているとわ思っても見なかったからだ
戦場で最も邪魔な存在は弱者ではない
闘う意思の無い人間だ
明日、この部屋は戦場となる
代々久我家と言うのはかなりの変わり者揃い
自らの嗜好と在らば刀の覚えも無しに戦場に現れたり将軍護衛放棄など平気でやって退ける
例に違わず当代久我家当主の源一郎もその兆候は至るところで確認されていた
「明日は晴れるか…」
田村時実は吹雪の外に呟いた
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