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明け方、いつもより早い時間から城内は浮足立っていた
眠る訳でも無く只横になっていた中条資春は部屋の外の気配も虚ろに感じていた
「中条様、お召し変えのお時間でございます」
「…あぁ」
小さく呼吸するついでにほんの少し音を乗せる様な曖昧な返事をした
すると、有ろう事か部屋の障子は何の遠慮も無く開け放たれた
「失礼致します」
声音から五十代半ばから後半
腰元と言った風格だ
女はそのまま中条資春の側に座ると布団を剥ぎ取り小さな子供を起こす様に片腕を掴み背中を支えて引き起こした
その一連の動作に中条資春は呆気にとられ全く反応出来なかった
「お早うございます、片瀬と申します」
「お早うございます、中条資春です」
挨拶をされ中条資春は勢いで挨拶を返してしまう
「恐れ多くも存じ上げております。中条様、お召し変えのお時間です、さぁお立ち下さい」
片瀬は有無を言わさず中条資春を立ち上がらせ背を向けさせる
腰帯を解き儒絆を後ろから掛け寝着を脱がせる
手早く右衽にし細紐を絞め着物に袖を通させて正面に立つと手慣れた風に着付け袴を履かせる
これは男に対する着付けだ
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