文久三年【冬之七】

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    本庄は立ち上がると公使達を十本刀の終刀中条側に一列に座らせ自分は九短富田側の正面に座った。 「I'm sorry,I can't speak english」 本庄は突然早口に何かを喋り頭を下げた。 何を言ったのかは全く解らなかったが、公使達は目を剥いて本庄を見ていた。 「初めに申し上げます。私は百五十年の時を遡りこの国へ参りました。私は皆様の母国にとって有益な未来を僅かですが提供する事が出来ます……それを踏まえて私の願いを聞き届けて頂きたいのです」 本庄の言葉に通訳は皆唖然としていて本庄が話し終えてから通訳が始まった。 公使達は皆怪訝そうな顔をしながら互いを見合せ訳の分からない言葉で話し合っていた。 「これが一つ目の証拠です」 そう言って本庄が取り出したのは何時か見せてくれた携帯電話と言う白い小さな箱だった。 公使達が口々に通訳へ何かを伝えると、 「これは何かと申されております」 「PortableTelephone」 本庄は短く又何かを喋ると公使達は大層驚いて指を差したり少し近寄って来た。 本庄が携帯電話を開くと突然小さく光り出し、真っ黒の板に色が付いた。 カシャッ!! 本庄が公使達に携帯電話を向けた瞬間に音が鳴り、部屋中の人間が武器を構えた。 何だ?何が起きた? 本庄が携帯電話を公使達に渡すと… 『おおおぉぉぉぉぉ!!!』 全員が小さな携帯電話に群がり感嘆の声を上げた。
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