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あからさまに透は驚いて牢屋の格子に手を掛けた様だ。
「なんで!?」
「透、少し家の昔話をしようか…」
「ん?…うん」
「テレビでさ水戸黄門てやってたじゃん?」
「時代劇?」
「そうそう!アレでよく水戸の御老公様がさ身分を隠して名乗ってたの覚えてる?」
「あ~何だっけ?…えっと……あ!越後の縮緬問屋!!」
「そう、それ私の家」
「は?」
「家、四百年位前は縮緬問屋」
「師匠、冗談とか今はいい」
「本当だよ、良いから聞け…家の品を気に入って旅をする間、家の宣伝をする代わりに悪い様にはしないから名前を貸してくれってね」
「…マジで!?」
「何かの記録で家に残ってた」
「師匠の家すげぇ…」
「って事は?」
「事は?」
「馬鹿、佐幕派って事」
「……助かるじゃん!!」
「分かってもらえればね」
「無理くね?」
「九割七分無理かな…」
「残り三分は?」
「…他力本願」
「師匠って馬鹿だったんだ…」
「切腹介錯私がやってやろうか?」
「死ぬのかな…」
「…死なせない、なにがなんでも死なせない」
途中から現れた彼は静かに牢屋を後にした。
彼が何と上に報告するか次第。
覚悟を決めておくしかない。
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