元治元年【春之壱】

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    「朝っぱらから落ち着かねぇ奴だな…」 呆れた顔で廊下の曲がり角に寄り掛りしゃがんでるのは未だ夜着の永倉さんと左之さんだった。 「私が火に油を注いでしまったんです」 苦笑いで永倉さんの上から二人の様子を伺っていた左之さんはキョトンとした顔で私を見た。 「昨日の晩、本庄さんと寝てしまって……あ、」 ガツン!! 「「っ!!??」」 「顔と頭大丈夫ですか?」 「総司てめえ…」 私の言葉に永倉さんは思い切り立ち上がり、当然の様に真上にいた左之さんの顎を突き上げた。 永倉さんは討ち入りの時みたいな顔で私を睨んでいるけど左之さんは残念ながら口が利けない様だ。 「私の所為じゃありませんよ?お二人が勝手にぶつかったんですから…顔と頭は大丈夫ですか?」 「その聞き方止めろ!嫌味かてめえ!!」 「あれ?…本当の事じゃないですか」 「五月蝿ぇ!!それより総司てめえ今何て言った!?」 「本庄さんと寝た、と言いましたが」 私は煽る様にわざとらしく笑顔を向けると、永倉さんは面白い位に真っ赤になった。 「てめえ自分が何したか分かってんのか?」 「はい、お陰で私は部屋から庭へ投げ飛ばされちゃいました」 「馬鹿じゃねぇのか!!お前、あいつだぞ!?」 「えぇ、本庄さんです…凄く暖かかったです」 まくし立てる永倉さんと目を見開いたままの左之さんの顔は更に赤くなり、本当にこの二人の顔は大丈夫なのかと心配になってくる。 「だって本庄さんの膝枕丁度いいんですもん」 「「…………ぁ?」」 「ひ・ざ・ま・く・ら」 「総司………てめえ其処に直りやがれ畜生!!!!」 「あはははははははっ!!」
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