元治元年【春之弐】

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    「京の太夫はエロい事しないの」 「なぁんだ」 「透、もう一発欲しいか?」 「冗談、俺は師匠いるもん」 「取り敢えず3メートル以内に入ってくんな」 何だよこいつら 男所帯嘗めてるだろ 「じゃぁ俺はいいの?」 「戻ってこい平助ぇ!!!!」 あいつは天然じゃない。 馬鹿だ!! 「ちょっと新八さん!?顔真っ赤だよ!?何怒ってんの!?」 「お前に怒ってんだよ平助君」 「いだだだだだっ!!」 「五月蝿ぇんだよてめら!!」 確かに俺の身長は高くないがそれは左之と居るからであって平助や総司と余り変わらない。 右手で力の限りに平助の頭を鷲掴み左右に揺すると何時の間にか前を歩く土方さんが振り返って怒鳴る。 その様子に前後の隊士達は大笑いし、最終的に本庄の隣には野口しかいなくなった。 座敷に通されると幾つもの行灯と庭の石灯籠で明るく、流石は老舗…襖は全て唐紙で雲母が光を反射して小さく輝いている。 見たままだが此処は紅葉の間だ。 襖には本物の紅葉が織り込まれていて感嘆に値した。 確か、他にも傘の生地を織り込んだ傘の間もあると聞いた事があるが当主の部屋だったような… まずお目にかかれない名門の廓を眺め席に着く、此処は茶屋だから料理は無く仕出しを取らなければならない。 料理には詳しく無いが、次々に運ばれてくる料理は輪違屋に引けをとらない物で此方も滅多にお目にかかれない。 「なんか今夜はすげぇな」 「あぁ、後が怖いぜ?」 左之が目を輝かせて料理を見ている所に俺は水を…いや、釘をさす。 「後が怖いって何ですか新八さん」 「味を占めたら抜けられねぇって事」 反対隣に座る平助は何故か悩みだした。
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