元治元年【春之弐】

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    「前から思ってたけど本庄って実はとんでもない美人なんじゃねぇか?」 「左之さんもそう思う!?」 左之の焦点はそろそろ怪しく、ふらふらしながら本庄を見つめて表情だけは真剣に呟いた。 平助は俺の腕から辛くもすり抜け左之に飛び付き本庄を見ている。 本庄が美人? あいつ男の格好してるぞ? 髪短いぞ? 俺がちょくちょく切ってやっているが… 「お前等酒飲み過ぎだ、あんなん男にしか見えないだろ」 「「………」」 「取り敢えず平助てめえは其処に直れ叩っ斬ってやる」 「一番惚けた目で本庄さん見てたく・せ・に!」 「そうか総司てめえは平助の手本になりてぇか!」 知らぬ間に後ろに居た総司は俺の耳元で楽しそうに囁いた。 総司の衿を掴み引き摺る様に抱え込む。 「やだなぁ永倉さん…夜はこれからですよ?」 「…ぁ?お前何企んでんだ?」 強かな笑みを浮かべる総司からは凡そ普段の善人さは窺えない… 「それは秘密です!皆さんをあっ!と言わせて見せますよ!!」 「おい総司、てめえが何しようが勝手だが、精々早阪の逆鱗には触れんなよ」 「その時は平助を盾にすればいいんでしょ?」 「分かってんじゃねぇか」 頭を軽く叩いて放してやれば総司はケラケラと笑い弾む様に本庄の所に戻って行った。
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