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「お前、本庄か?」
「言いたい事あるならはっきり言って下さい…ってか、煙管逆さまですけど…」
「え!?あ、いや…」
あの土方さんがしどろもどろで煙管を落とす。
酔ってても土方さんに食って掛かる辺りは間違いなく本庄なのであろう。
「ほら、山南さんも何か言ってあげて下さいよ!!どうしちゃったんですか?土方さんだって何時もは鳥肌が立つような事平気で言うのに…」
「黙れ総司!!」
「いや…普段と余りにも雰囲気が違って…その、綺麗過ぎて、驚いたと言うか…あ、違うんだ普段は普段でとても綺麗なんだが………私は一体何を言ってるんだ」
山南さんは顔を真っ赤にして何時もの癖で慌てると話に脈絡が無くなり何を言ってるのか話がまとまらなくなっている。
「本庄さん、お酌してあげたらどうです?」
「……はぃ」
相当嫌そうな顔で返事をし芸妓から徳利を貰うと近藤さんの前に座る。
「本庄君?」
「はい?」
「やっぱり本庄君だよなぁ」
「なんです?似合わないならはっきり言って下さい、自分が一番分かってます…」
「いや、そうじゃないんだ…余りにも綺麗で、私は夢でも見てるんじゃないかと思って……すまんね、美人を前にするとどうも緊張してしまって」
「…近藤さん」
赤面しながらも豪快に笑う近藤さんはやっぱ好い人だ。
実直で嘘が吐けなくて、それでいて寛大で厳しくも優しい。
静かな部屋で一人笑う近藤さんにやっと室内の緊張が解れ始めた。
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