元冶元年【春之参】

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    「ねぇ、早阪君」 「…何すか?」 「私の事、嫌いでしょ?」 「は?…別に」 「そうですか?」 「そうですよ」 「ふふっ素直じゃないですね」 「何笑ってんすか…」 沖田さんは廊下に座り膝を抱えると突然そう言って笑いだした。 正直、沖田さんが嫌いな訳じゃない。 ただ、今夜のやり方が気に入らなくて俺は機嫌が悪い。 「私、本庄さんが好きです」 「はぁ?あんた何言ってんだ?」 「でもね早阪君、君は勘違いしている」 沖田さんの言ってる意味が全く理解出来ない。 素面みたいな面して実は相当回ってんじゃねぇの? 俺は遠慮無く嫌悪を剥き出しにして沖田さんを見下ろす。 「ふふっくくくっ本当に本庄さんそっくり……」 「ぁあ!?」 「私が好きなのは早阪君と一緒にいる本庄さんですよ」 今、この人俺と師匠が似てるって言ったよな? 「意味分かんねぇ!!」 「だぁかぁらぁ…君と一緒にいる時が一番可愛いんですよ本庄さんて、それにすごく優しくなるしね」 「…………絶対嘘」 「おや?信じてないんですか?」 信じるも何も有り得ない。 「無い、マジで無い」 「マジ?よく分かんないですけど、早阪君て意外と鈍感なんですか?」 鈍感だって!? ふざけんな!! 「俺は!!」 「透!!!!!!」 バンッ!! 「え?」 「あら…」 「本庄はん!!!!」 「お待ちやす!!」 「どないしたの!?」 「「「「「…あ」」」」」 ドサッ 師匠が降ってきた よく……いや、全く分かんねぇけど 師匠が降ってきた
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