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宴会の部屋は師匠が酌に回りだすとやっと賑やかになってきた。
あちこちで師匠の名前を呼んでいる。
滅多に見せない無防備な笑顔が憎たらしい。
三十分もしない内にイライラし始めると空かさず沖田さんがやってきた。
「前言撤回沖田さん嫌いだ」
「八つ当たりですか?しょうがないですねぇ…本庄さぁん!!」
俺が言い返すよりも先に沖田さんは大声で師匠を呼ぶ。
前から気になってはいたけど、沖田さんの声は滅茶苦茶でかい上によく通るから稽古してるとすぐに分かる。
そして、そんな滅茶苦茶でかい声に当然師匠が気付かない訳は無くて、少し首を傾げてふにゃりと笑むとゆっくりこちらへ歩いてきた。
「早阪君にもお酌してあげてくださいな!」
「………透、はい、お酒」
「あ、ありがとう」
何かすげぇ緊張する。
こんな格好した師匠を見たのは初めてだったから。
ってかエロい…
俺が酒を飲み干すと師匠はじっと俺を見ている。
「何?照れるんだけど」
照れ隠しに普通の顔でわざと言ってやる。
「透、照れてる」
「ぁあ!?」
「可愛いー」
「うるせっ!!」
俺がムキになればなる程師匠は笑って…
「とう!!」
「おいっ!!何して!!」
変な掛け声と共に師匠が抱き付いてきた。
「透~可愛いなぁ~」
「馬鹿!!離れろ!!ふざけんな!!」
「やぁだよ~」
やだだぁ?
襲うぞコラ
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