元冶元年【春之参】

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猫みたいに顔を俺の頬や首に擦り寄せる。 「ちょっ!!師匠!!!」 「透、お酒の匂いがする」 「師匠が注いだんだろ!!」 「そうだっけか?へへっ」 「へへっじゃねぇ!!離れろ!!」 「仕方ない…野ぐ…」 「待て」 「何?」 「やっぱ此処にいろ」 「なんで?」 「何でも!!!!」 「ふぅん?」 今、野口とか言ったよな? 絶対行かせるか… とりあえず、俺は今宴会の真ん中よりも奥の席寄りに座っていて向かいには目を合わせたら間違い無く切り刻まれそうな永倉さんと無邪気な笑顔で刀の置く位置を変えた藤堂さんが座っている。 原田さんは俺の後ろに半裸で仁王立ちしている。 「おい、こっち向けよ」 「無理っす」 「透、新八さんの言う事聞いといた方がいいよ」 「聞いても良い事無いっすよね?」 「それはどうかな?」 「じゃぁ原田さん見本見せて下さいよ」 「無理に決まってんだろうが!!!」 「じゃぁ俺も無理に決まってんでしょうが!!!」 ぶっちゃけ馬鹿だろ? お前俺に死ねって言いたい訳か? だって見てみろよ… 永倉さん笑ってんぜ? 勿論、顔は見てない 地を這う様な笑い声が聞こえんだよ!!! 「あれ?本庄さんご機嫌ですね」 「えへへっ」 「えへへっじゃねぇんだよ!!」 「早阪、表出るか?」 「出ねぇよ!!!…っあ」 「左之」 「おぅ」 次の瞬間 「え?」 「あ?」 「左之、寄越せ」 「………」 「左之さん…?」 「左之?」 「原田さん何して!?降ろして下さいよ!!」 「やっぱやだ…」 「「「は?」」」 今の状況を把握するのは簡単だ。 原田さんに抱きかかえられている。 俺がじゃない。 師匠だ。 「あはは、高いねぇ」 「黙れ馬鹿師匠!!!!」
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