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健司は眉間に皺を寄せて部屋の隅で正座しながら俺を睨んでいる。
ぶっちゃけ、俺の所為じゃない。
因みに健司の着物は、遠州茶、鬱金色、紫紺、濡羽色と師匠が指定していた。
ピンクに黄色に紫に黒で、一番上に羽織ってる黒には綺麗な牡丹が描かれている。
俺のは今様?健司のピンクよりもっと紫の強い羽織には蝶が舞っている。
ブスくれてる健司は放置で永倉さんと二人係りで今は原田さんを抑えて沖田さんが着物を脱がしてるが…
「畜生!!暴れんじゃねぇ左之!!」
「原田さん逃がさないっすよ!!」
とにかく図体がでかい為に暴れると半端ない。
「俺は桃色なんか嫌だ!!」
「じゃぁ白群ね、桃色じゃないから文句は受け付けない」
「………」
原田さんのよく分からない我が儘を師匠が一掃して着物を投げて寄越すと、沖田さんが隙を与えずに着付ける。
怖ぇ…
「青藤、褐返、濃鼠」
「はいよ~」
「終わりましたぁ」
白や青、紺や灰の色で纏められた原田さんは正直、今のままでも十分格好良い。
俺が思うに、原田さんは新撰組で一番格好良い。
土方さんも顔は整ってて女ウケは良さそうだけど、男として憧れるのは原田さんだ。
「おぉ!!俺男前だな!!」
「勘違いだな、お前はただの馬鹿だ左之」
永倉さんも口さえ直りゃ俺ももう少しは好きになれそうだ…
「次は平助、お前だ!!」
「本庄!!俺は何色!?」
原田さんのしたり顔を受け流して藤堂さんは師匠の肩越しに着物を覗き込む。
なんか、乗り気じゃね?
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