元冶元年【春之参】

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    それから宴会はかなり続き、俺はそろそろ女装が気にならなくなった頃だった… 「おい、本庄!!何寝てんだよ!!起きて酌しろ!!」 「なんだよ潰れちまったのか?」 上座で沖田さんと二人で近藤さんと土方さんの酌をしながら振り返ると下座に近い平隊士の正面で師匠は小さく丸くなっていた。 「本庄?…本庄?」 スラリと背の高い花魁が師匠の傍に座り様子を伺っている。 健司だ… 「………」 「本庄、こんな所で寝るな、前に言っただろう?」 前? 前って一体何時の話だ? 酌をしながらも又酒を飲み直した所為か身体中が火照っている。 只でさえ着慣れない着物にイラついて、気分も落ち着かないのに… きっと何時もなら健司に食って掛かる頃なのに、俺は動けなかった。 じわりじわりと残り火を焚き付ける様に侵食する熱が、酒に落ち掛けていた意識を完全に引き上げる。 師匠を抱き起こして宴席から外れ廊下に腰を下ろす健司を目だけで追う。
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