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「…何、やってんだよ…」
透は私の胸ぐらを掴み引き摺り上げた。
「何やってんだよ!!!!ふざけんな!!どうしてあんな事したんだよ!!いくら師匠でも絶対許さねぇぞ!!」
私の胸ぐらを掴んで揺さ振る度に透の涙が降り注ぐ。
「…ごめん…透」
「許さねぇ!!」
私はいつもの顔で透を見つめた。
「いいよ、私は透が生きていてくれるなら許さなくたっていい…お前に一生恨まれたっていい」
「良くねぇよ!!」
「…お前の感情なんて関係無い!!いいか、今の内に言っとくからな!!
この先、何度こんな場面になるか分からない
でもな、何度だってお前を選ぶからな!!
絶対にだ!!何がなんでも透を死なせない!!」
透はとうとう膝を着いた。
瞳からはボロボロと涙が溢れ頬を濡らさし、ガクリと項垂れた。
「透、さっきも言っただろう?私は弱いんだ…刀が無かったら何も出来ないんだ」
言葉を区切った瞬間だった。
ドン!!と言うすごい勢いで透が抱き付き鳩尾辺りに顔を埋めて私の背中に爪を立てる程の強さでしがみ付く。
「…透…?」
嗚咽が洩れて肩が震えていた。
「…待ってよ……お願いだから待ってよ…」
くぐもった声は必死に叫ぼうと擦れていた。
「死ぬなんて言うなよ!!俺を置いてかないでよ師匠、頼むから、傍に居させてよ…
俺強くなるから!!免許皆伝だってするから!!
師匠の事守ってみせるから!!
俺の為に死ぬなんて言うなよ!」
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