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酒が回った勢いに任せ、手短に憂さ晴らしで透達を女装させた。
因みに野口はつい、ポロっと名前を出してしまった程度で、正直申し訳ないとは思っていた。
着付け終わり座敷に上がるとそれなりに盛り上がって私は又酌に回りながら自分でも飲んでしまった。
一度も話した事の無い隊士と酒を飲む…
何を話したかきっとすぐに忘れてしまうだろう。
名前と共に…
私にとって新撰組とはそういう存在だ。
確かに守ってやりたいとは思う。
だけど、私には限りがあってその全ての大前提に透が居る。
透を守り抜き尚且つ、その余力の限りでしか手は貸せない。
だから、もし、此処へ来て直ぐのあの夜…透が逃げ切れず新撰組の手によって斬られたのなら私は何も迷う事は無いだろう…
新撰組には歴史より早々に消えて貰っていた。
今は出来る限りの人を知る事は必要だが、私にはそんな時間がもう残っていない。
ならば、せめて彼等の上に立つ人間だけでも選別し力になろうとは思う。
一番初めは野口だった。
彼の存在自体に何等新撰組に不要とされる理由は無く生かしといても損は無い程度の存在だった。
しかし、彼は全く予想外の行動を取り私にとって無くてはならない存在となった。
二番目は山南さんだった、彼は優しく真面目過ぎた。
芹沢を間違いなく悔いるのは確かだった。
手っ取り早く彼から芹沢を奪い取れば今後粛清による罪悪感と疑心暗鬼も多少は緩和されると思った。
後は明里と言う名の遊女さえどうにかすればいい。
三番目は沖田さん。
これだけは私にはどうする事も出来なかった。
野口が水戸に戻った事で直ぐに江戸城と四国艦隊連合軍が頭を過り、水戸藩主徳川慶篤抹殺を思い立った。
幕府は間違いなく水戸に手を焼いている時期の筈で意味の無い攘夷を吹聴するお頭潰しに反対するとは思えなかった。
後は十四代将軍を畳み掛ける様に優位な条件を飲ませ、外交まで扱ぎ付ければ携帯電話で何とかなると思った。
彼に…沖田総司に死なれては困る。
新撰組の未来を左右するのは彼の存在だ。
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