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「強く、なりたい…」
「本庄祿、お前さんはよく頑張った…否、一人で頑張り過ぎた」
砂利を踏むゆっくりとした足音は近藤さん、沖田さん、透に自然と道を開けさせた。
「誰かに……助けて欲しかった、でも…でも、誰も巻き込みたくなかった…傷付いて欲しくなかった」
「本庄祿、人とは万能では無い…でも万象を動かす力は持っている……それはお前さんの様な慈悲深き心だよ…本庄祿」
目の前まで来て止まった足音は「よっこらしょ」と言う声と共に漸く姿を現した
小柄で白髪の髪を結上げ、垂れ目に顎髭を蓄え白祿の着物を着た鈴木永嗣が…
「六、月……」
「皆まで言わずともよい…縁は繋がれ絆を生む、生まれた絆は必ず強さになる…本庄祿、お前さんが作った縁はどれだけある?それがお前さんの強さぞ」
「…縁」
頭に置かれた手は大きくて十年以上前に喪った手を思い出した。
大好きな大好きな手だった。
《いい子だ…よく頑張った》
この手はそう言っている様だった…
私の縁で得た手
徳川十本刀二砲雑賀孫市
正真正銘の孫市の手
日本一の狙撃手
「本庄祿…儂の腕をお前さんにくれてやる」
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