文久三年【春之壱】

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    「お願いします、十日待って下さい…そうすれば分かります」 ガツン!! 「あ゙ぁ!?…ぐっ!!」 棒らしき物で背中から頭に掛けて殴られる。 「俺は吐けって言ったんだ…その返事以外は許さねぇ」 「…お願い、します!!」 バシン!! ミシッ!! 「ぎぁぁぁぁぁ!!」 「吐け」 鈍い音と共にあばら骨に異変が起きる。 どんなに殴られても今の私にはお願いする以外に方法は無い。 「今日で三日目…強情だな」 「へぇ、土方さん直々の拷問にまだ本庄さん黙りですか?」 「…チッ!!」 「うっかり殺さないで下さいね?…あれだけの腕前、何か隠してる筈なんですから」 「分かってらぁ…餓鬼はどうだ?」 「早阪くんは本庄さんが無断で姿を消したと伝えたら大暴れで発狂してしまいましてね…まぁ理由いらずで牢屋入って貰えました」 「総司、あいつ何を隠してると思う?荷物からは徳川から賜った鉄扇が消えていたし、あの刀だってそんじょそこらで手に入る物じゃねぇ…」 「辻斬りをして奪った、とか?…でも、本庄さん自身に大きな秘匿があるのは間違いないでしょうね、そしてそれを早阪くんは知らない」 「…本庄が餓鬼にまで隠す何か」 こんな会話から更に四日が過ぎた深夜 。
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