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京都守護職会津藩御預かりと名前を改めた翌晩
私はとうとうあの男と出会う。
「沖田さん、ご機嫌ですね」
昼前位にいつもの様に現れた沖田さんは私の隣でニコニコしながらお茶を飲んでいる。
「わかりますか?」
「えぇ、何か良い事あったんですか?」
分からない方がおかしいくらいに彼はいつも以上に笑顔だ。
「私達にちゃんとした居場所が出来たんです!本庄さんが仰っていた通りに会津公より命が下ったんです!!」
「そうですか、役職は何と?」
「京都守護職会津藩御預かり壬生浪士組です!」
沖田さんの声は弾んでいて身の置場が確立し、一番に打ち解けた彼の笑顔がやっと微笑ましく感じた。
「…善い名前ですね」
「もう!!本庄さんも京都守護職会津藩御預かりって名乗るんですから他人事みたいに言っちゃダメですよ!!」
沖田さんは頬を膨らましてブスくれてみた。
「私が…壬生浪士組…」
「仲間なんですから!近藤さんや土方さんもすごく喜んでいました…」
笑顔だった沖田さんの語尾が何故か沈む。
「どうかしました、か?」
「本庄さんも直ぐに会うとは思うんですが、筆頭局長が私、ちょっと苦手なんです」
沖田さんが苦笑いで誤魔化す程に嫌いなのだろう、
芹沢 鴨…か。
「何て方ですか?」
「…芹沢さんです」
躊躇いがちに小さく名前を告げる。
「沖田さんが苦手なら私はきっと大嫌いになりそうです」
おどけて見せると沖田さんは少し驚いてから大笑いした。
「私の第一印象が最悪な本庄さんなら有り得ますね」
フフッと未だお腹を抱えて笑いを堪える沖田さんに一安心した 。
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