~第一章・葛藤…そして出逢い~

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 それから数日後、また仕 事終わりに彼から連絡があ った。 「今からお前ん家行こう  と思うんだけど平気?」 次の日も仕事だったが、数 時間ならと僕は答えた。 「じゃぁあと40分くら  いで行くわ!」 そう言って彼は電話を切っ た。  僕は食事をとり、タバコ と携帯を持ち外へ出た。 僕が住んでいた街は川沿い にある閑静な住宅街で、夜 は空気が澄んでいて静まり 返っている為、僕は夜の散 歩が好きだった。 外へ出るとすぐに1台の車 が見えた。23時を過ぎた その時間に車が通る様な所 ではなかったので、すぐに 彼だとわかった。 僕はそのままその場に腰か け、待っていた。 彼が車から降り、ドアを閉 め、こちらへ歩きだす。 すると、助手席のドアが開 いた。 小さな背中が見えた。 降りてきたのは、そんな時 間に相応しくない女子高生 だった。 バイト終わりだったのか、 制服姿に白いマフラーを巻 いて、髪はおだんごに結い 上げ、透き通る様な白い肌 を寒さで少し赤らめ、はに かむ様に笑いながら降りて きた。 それが、僕が初めて逢った 君だった…。
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