夏の模試

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「美ー咲っ。何してんの?」 俺は後ろから抱きついた。いつもみたいな嫌がる反応がなかった。 「ごめんごめん、ボーッとしてた」 美咲は持っていた模試の結果をとっさに隠した。見るつもりはなかったけれど、見えてしまった。 “竹内美咲 西大学 C判定” 美咲は、泣きそうな顔をしていた。よほど悔しかったのだろう。紙の端が強く握ったせいで、ぐしゃぐしゃになっていた。 「帰ろっか」 美咲の頭を二度撫でて、教室をあとにした。
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