一人

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受験勉強を始めてから、一日一日がとても早く感じた。 まだ赤本予定のページまで進んでねーよ、課題もやってねーし、てかまだ風呂入ってねーじゃん。明日の朝入ろうか?いやいや、朝は英単語するからダメだ。うっかり遅刻したら大変だわ。 あー、一日二十四時間じゃ足りねえよ。 毎日キツかった。でも、美咲の方がもっとキツい。 甘えてばかりはいられない。 気づけば今日は終業式だ。本当に、勉強するようになってから、今日までがとても早かった。ワープしたような気分だ。 通知表はあえて見なかった。俺が本気で勉強し始める前の、どうでもよかった時の成績を評価されていると思ったから。 代わりに敏志に見せたけど、見ない方がいいって言われたし。 美咲は明日から、夏休みの間だけ塾に通うらしい。朝から晩まで毎日。 俺は一人…一人だけど、甘えていられないから。 「時間ある時でいいから、メールしてね」 そう言って美咲を家の前まで送って、バイバイした。
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