悪の定義、騎士の物差し

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「ナイト……。体は?」 子供たちと入れ違いに、澪が入ってきた。 「……もうすぐ治る」 「そんな訳ないでしょう?」 言い、澪がナイトにため息をつく。 「澪、ヒメ……見なかった?」 「見てないわよ。ヒメって……大きい蛇でしょう?」 「ヒメはヒメだよ。僕の可愛い恋人」 「人じゃあない……よね?」 「ヒメは僕の恋人だよ。愛を誓い合った」 平然と微笑みながら言うナイトに澪は呆れながら嘆息する。 「蛇と愛を誓い合ってどうするのよ……」 「愛を誓い合ったところで、どうこうするものじゃないんだよ。澪、そんなことも分からないの?」 「……安静にしてるのよ。外は私が見てるから」 疲れたように澪が言い、ナイトのロングコートに袖を通した。ナイトには少々大きいが、澪にはサイズが合っている。 「澪、緋色の砂が消えたから新しい勢力が現れる可能性がある。不審なことがあったら教えて」 「今はそんなこと考えないで傷を癒しなさい。私に任せて」 澪が部屋を出て行くと、ナイトはベッドから降りた。貴重な包帯やギプスを異能で断ち切り、ベッドをどかす。そこの床に鉄の扉があった。取っ手を掴んで持ち上げると、暗いそこに滑り込むように入っていった。
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