423人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナイト……!」
自分の部屋の扉を開けようとドアノブに手をかけたところで、呼ばれて振り返った。
「僕は扉を開ける度に澪と会わなければならないの?」
そこにいたのは澪だ。肩で息をしていて、呼吸が乱れている。
「今はそんな事態じゃないの!」
「……何かあった?」
切羽詰ったような澪の態度にナイトが尋ねる。
「異能者よ。異能者が、やって来てる。シェルターの周囲をいつもみたいに監視してたら、少し離れたところにどんどん人が集まっているのを見たの。多分、ナイトが最近潰してる賊だと思う……」
その言葉に、ナイトは腕にかけていたロングコートを着た。袖を通し、下腹部の辺りのボタンだけ止める。
「緋色の砂。異能者一人を頭にする、盗賊集団。……向こうから来るのなら丁度いい。悪は、僕が全て断ち切る」
ロングコートを翻し、ナイトが踵を返した。だが、澪が横を通り過ぎたナイトの袖を掴んで止めた。歩を止めて、訝しい視線をしながらナイトが澪を見る。
最初のコメントを投稿しよう!