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「止めて、ナイト……」
「どうして?そうしなきゃ、このシェルターの人間は皆殺しにされるのに」
少しも揺るがないナイトの言葉。顔は合わせず、淡々としながら発している。
「ナイトが死んだら、どうするの?」
澪の声は、ナイトとは対象的に震えていた。まだ子供の域を出ないのに、異能者だというだけで、悪を断ち切りたいというだけで、向かっていく。それがどうしようもなく恐ろしかった。
「僕が死ぬ?あり得ない。僕は全ての悪を断ち切るまでは、どうなっても死ぬつもりはない」
澪の手を振り払い、ナイトが歩いていく。
「ナイト!」
悲鳴でもあげるように澪が声を張る。
「……」
だが、何度呼ばれても今度は振り向かず、悠然と、それでいて威圧的にナイトは外へと向かった。ブーツの音を響かせて、その瞳に殺意の炎をたぎらせながら――。
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