壊れた世界、壊された心

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「――ボス!あの小僧に間違いありません!」 荒廃し、砂漠化した大地。かろうじて半壊で免れていた建物からナイトが出てきたのを見て、単眼鏡を持っていた男が後ろにいた人物に声をかけた。 「よこせ」 その人物が声を出す。低く響くような声だった。体格は悠に2メートルを超えて、3メートルに届いているのではないかと疑ってしまいそうな程だ。肩幅が広く、がっしりとした体躯は筋肉もあるが、脂肪も多い。黒い革のベストとズボンを身につけていて、インナーには鎖の編みこまれたものを着用している。 「随分と小せぇガキだな……。今にも死にそうな顔してやがる。これが本当に、同胞を殺した異能者か?」 「はい、そのようです。ついさっきも食料の調達を任していた班がやられました。あの小僧の異能は切断。首の刎ねられた死体と一致します」 単眼鏡を差し出した男がボスに伝える。ボスはへっ、と鼻で笑ってから単眼鏡を大きな手で握りつぶした。
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