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「怯むなァ!続けェ!」
賊の誰かが叫ぶ。たったの数人とはいえ、仲間が一瞬でやられたのに少しも動じない。それどころか、さらに勢いを増してナイトへと向かってくる。
「……」
それを見て、ナイトはロングコートに銃をしまった。銃も、弾丸も、手に入れるのは大変だ。シェルターには銃の予備がもう一丁あるが、弾丸は少なく、手に入れるのも難しい。無駄撃ちは禁物。不必要ならば銃は使わず、異能で片をつける。
「そんなにむごたらしい死に方をしたいなら、僕がそうしてあげるよ。窒息死、圧死、出血死。まとめてプレゼントだ――」
とうとう、賊がナイトに辿りつく。手にしていた鉄パイプを大きく振り回すが、ナイトが左手でそれを受け止めるとその箇所から真っ二つに斬れた。面食らったところへ、体を捻りながら跳んで蹴りを叩きこむ。着地すると同時に地面へ手を触れた。すると、ナイトを中心に円が砂上に浮かび上がる。その外側、半径およそ10メートルにいた賊が突如出現した砂地獄に呑まれていく。
「悪は死ね――」
砂地獄にはまった賊へ両手を向けると、彼らが急に血潮に包まれた。血潮は賊から出たもので、そのパニックと痛みから一瞬で阿鼻叫喚の巷と化す。
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