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「ボス、あの小僧……とんでもねぇ強さです!」
ガレオンの傍に残っていた賊が言う。頭に真っ赤な布を巻いた男だ。
「うろたえるんじゃねぇ!このまま突っ込ませろ!」
「しかし、それでは……!」
「うるせぇ!言う通りにしろォ!異能は使用者の体力を消耗するんだ!あんなもやしみたいな体をした小僧に、この大人数を相手に出来るだけの体力はねぇ!」
檄を飛ばすガレオン。しかし、激戦を繰り広げるナイトに疲れは未だ少しも見えていなかった。数十人単位でまとめて殺していき、その合間に襲いくる者には容赦のない蹴りを叩き込み、そこへ異能を使って首を刎ね飛ばす。圧倒的なまでの強さだった。ただでさえ、ナイトは鉄製の重いブーツを履いている為に威力が高いのだ。それは防いだところで体勢を崩し、そこに一撃必殺の異能だ。
「悪は僕が断ち切る。例外は、なしだ」
両手を合わせ、前方へ向ける。すると、そちらの方にいた賊が弾かれるように飛び、そうかと思うと中空でばらばらになった。鮮血の霧雨が煙る。ギラギラとするナイトの視線を遠くから直視し、ガレオンは戦慄した。
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