壊れた世界、壊された心

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シェルター。世界に点々と存在する、地下に作られた街。その入口となっている、半壊した建物の階段をナイトは降りていた。履いている鉄がふんだんに使われたブーツが、一段降りる度に響く。 「ナイト。どこに行ってたの?」 半壊した建物の最下層。そこにある大きな扉のところに女性がいた。20代の前半ほど。整った、鼻の高い綺麗な顔をしているものの着ている服は汚れにまみれている。 「……西の方のシェルター」 言ってからナイトが女性を素通りし、扉に手を触れた。だが、女性がその手を掴んだ。 「何か、してきたの?」 「……別に。澪(ミオ)はこんなところで僕の出迎え?」 歩を止め、薄暗いそこで2人が視線を合わせた。壁の至るところに亀裂が入り、少し大きな震動が起きるだけでも崩れそうな場所だ。 「そう。ね、ナイト。いつまで、そうしてるつもり?」 「……全ての悪が、消え去るまでだよ」 「そうしたら、ナイトはどうするの?」 「決まってるじゃないか。最後に残った悪を、僕自身を、――殺すんだよ」 ぱんっ、と渇いた音が響く。澪の平手打ちがナイトの頬に炸裂していた。ゆっくりとナイトがまた澪の方へ顔を戻す。
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