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狼に向かって走りながら猛は不思議な感覚に襲われた。
普通に考えればこんな化け物に勝てるわけが無い。
像のように大きな身体。
犬のように素早い動き。
刃のように尖った犬歯。
だが今の猛にはそんなことはどうでも良かった。
今の猛には狼に一発ぶちかましてやることしか頭になかった。
「くらえぇっ!!!」
猛は狼の顔面を全力で殴った。
すると狼は後方に吹き飛び気絶した。
「…すっげえ!!マジかよ!!」
猛は自分の拳を眺めた。
「……これは……一体どうなってるの?」
彼女が目を覚ました。
「大丈夫か?…どうだぁ!あいつに一発ぶちかましてやったぜ!!」
「驚いたわ……あなたも契約者だったのね!」
「契約者?なんだよ…契約者って…」
猛が話していると狼も目が覚め始めていた。
「早く魔人化して!!」
「ま、まじんか?なにそれ。」
「えっ!?あなた…何も知らずに戦ったりなんかしたの!?」
『彼は私の力を少し使ったのですよ。』
「ま、またあの声だ!」
猛が声の出所を探していると彼女は猛の後ろを見て言った。
「あなたは…………ベリアル!!」
「は?誰だって?……」
猛は後ろを振り向くと赤く輝く半透明の若い紳士が立っていた。
「…………誰っ!??」
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