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「………暑い。」
6月の正午、厳しい日差しに耐え兼ねた高校生はとうとうその一言を漏らしてしまった。
いくら家から学校が近いからと言っても、この湿気に満ちた灼熱の道路を歩くのは並大抵の暑さじゃない。
俺の名前は猛、入っていた剣道部の影響で敬語になるとどうしても一人称が「自分」になってしまうのが悩みの種の一つだ。
そしてもう一つ……
霊感があると思う。
ありきたりだと鼻で笑わないで欲しい。
こっちはリアルに怖いんだ。
何も感じない人が羨ましい。
「………猛っ!!」
「ぅお!?なんだ雅人かぁ~。」
「なんだとは失礼だなぁ。てっきり可愛いJK(女子高生)とでもおもったのか?このマヌケめぇ~。」
「はぁ~!?そんなんじゃねぇし。」
「まぁまぁ、期末テストも終わったことだし。
この唯一の親友、雅人さんとの男の青春を過ごそうじゃありませんか………ってあれ?
…あ、おいっ!待てよ猛く~ん!」
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…
何であんな奴と同類にされなきゃならないんだ。
てか、何が『唯一の親友』だ!!
まるで俺の周りに友達がいないみたいじゃないか!!)
そんなことを心の中でつぶやいていた猛は逃げるように自宅に帰って行った。
同時刻、その状況を見ていた一人の人間がいた。
「ふぅん。………なるほど…ね。
……………どうも彼のせいみたいね。」
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