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猛は全身に猛烈な寒気を感じたからだ。
跳び起きた猛は部屋全体を見回した後、恐る恐る窓のカーテンを勢いよく開けた……が、特に変わったことは無かった。
いつもの風景だった。
「何なんだよ、今の感じ。……」
猛は後ろを振り返り、そして気づいた。
いつもの風景が違っていた。
…知らない女性が、猛の部屋にいた。
腰ぐらいまである長い黒髪、スレンダーな体型、自分より少し小さいぐらいの身長だった。
謎の女性は猛に背を向け、彼のお気に入りの曲を聴いていた。
一見普通の女性だ。
いや、『普通』じゃ無かった。
彼女がここに居るだけで部屋の空気が変わった。
猛はこんな空気を幾度となく経験してきた。
(こりゃ絶対にいるな…近くに。)
それは明らかに霊体が近くにいる感じだった。
(…しかし、何かがおかしい、俺の直感だと原因は彼女だ。だが彼女が霊とはとても思えない。それになんでだろう、彼女がいるとなんか落ち着くなぁ。………どういう事かなぁ?)
猛が考え込んでいる時だった。
長い沈黙を断ち切ったのは彼女の方だった。
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