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猛はもう一度、今度はそーっと建物の陰から覗いて見た。
やはり見間違いでは無い。……化け物だ。
暗くてよく分からなかったが、どうやら数は6体いるようだ。
その内の5体は烏のようだったが烏なんかよりも一回りも二回りも大きかった。
そして残りの1体が凄まじかった。
「………でかい!!」
像ぐらいの大きさだろうか。
真っ黒い狼があの娘に向かって今にも襲い掛かろうと虎視眈々としていた。
あの娘はと言うと……
「ま…全く動じていない!!」
その時だった。
彼女周りから白い冷気が立ち込めたのだ。
その白い冷気は円を描き、みるみる内に彼女を包んでいった。
すると一体の烏らしき化け物が彼女に向かって突っ込んで行った。
が、烏の化け物は一瞬にして水に包まれ、凍ってしまった。
その氷は地面に落ち、細かく砕け散った。
そしてその刹那!
強い風が吹き、猛は咄嗟に腕で目を隠した。
風が止むと猛はもう一度彼女を見た。
彼女の瞳はブラックからブルーに輝いていた。
その瞳はまるで海のような色だった。
だが、変わっていたのは瞳だけじゃ無かった。
猛は気づいた。
彼女の後ろにいる『もう一人の化け物』を。
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