美女と野獣?

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その化け物はどうやら他の化け物とは様子が違った。全身が青く輝いており、少し半透明であった。 下半身においては、完全に透明になっていた。 その化け物は人間の女性のような姿をしており、所々魚の鱗やヒレのようなものが付いていた。 まるで人魚のようだ。 彼女が右手を前に突き出すと後ろに浮遊している人魚も同じ動きをした。 どうやら彼女はあの人魚を操れるらしい。 猛が人魚を見ていた時だった。 「凍れ」 その一言を放つと、彼女と人魚の右手が青く光ったと共に化け物達は一瞬にして氷と化した。 烏の化け物は地面に落ち、砕け散った。 だが狼の化け物は自力で氷を割った。 「マジかよ!?」 あいつに氷は効かないようだ。 その刹那、狼は彼女に襲い掛かった。 彼女は両手を広げ、いくつもの氷の塊を狼に同時にぶつけた。 が、それも狼には効かず、狼は彼女にその強靭そうな顎で食らいつこうとした。 彼女はそれを紙一重で避けたが狼は見逃さず、後ろ脚で彼女を蹴り飛ばした。 「きゃああ!!」 彼女は猛が隠れていた建物に叩き付けられた。 「だ、大丈夫か!?」 猛は彼女のもとへ行き、彼女の肩を揺すった。 「うぅ……ん……あ、あなた!!来ちゃダメって言ったでしょ!?」 「そ、それは……」 「危ない!!!」 猛が振り返ると狼がもうすでにそこまで来ていた。 「くっ!」 彼女は両手を前に突き出すと大きな氷の壁が猛達を覆った。 「ふぅ…これでひとまず時間が稼げるわ。」 「大丈夫か?怪我してるぞ…。」 「大丈夫わよこれくらい…て言いたいけど、流石にちょっと痛いかな。」 「はは…。」 猛達が苦笑いをしていたその刹那、こともあろうか狼はなんと火を噴き始めた。
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